日々のエッセイ
12.32016
不耕起栽培へのチャレンジ
〈不耕起栽培─1〉ここのところ、稲作の省力化をずっとかんがえている。ひとつのヒントは、岩澤信夫さんが提唱している「不耕起栽培」だ。肥料も必要ない。耕す必要もないという農法だ。
普通は、稲刈りの後の田んぼは、荒起こして春まで放置する。春になってまた耕す。川から水を引いて代掻きする。草はみんな土に漉き込まれてしまう。田んぼは水平になる。そうして、田植えをする。そういう流れだ。
しかし、岩澤式の「不耕起栽培」は、耕さないで稲を育てる。稲刈りの後、藁やヌカを撒く。しかし、田んぼは耕さない。川から水を引いて、ずっと水をたたえておく。田植えのときに、代掻きしない。そのまま植えていく。
肥料もいらない。水を張っておくと、撒かれたワラなどが分解して微生物が繁殖する。イトミミズなどが増える。それらが、栄養素を産出してくれる。しかも、雑草も抑えてくれるという。
耕す手間がいらない、草取りも必要ない、肥料もいらない。ということで、究極の農法のように思える。しかし、ほんとうにそれが可能だろうか。ちゃんと実践して成功した人が身近にいないので、なんともわからない。
〈不耕起栽培─2〉岩澤式不耕起栽培を調べていて、難しいなと思うことがふたつ。
ひとつは、専用の田植え機がいること。水を張ったままで、耕さないとなると、田んぼの土は固くなる。従来の田植え機で苗を植えるのは難しい。
そこで専用の機械が必要。これが新品で300万円もするというのだ。これで、アウト。小規模でやるなら、割り箸で穴をあけて手植えすれば可能だけれども。うちのように3,000平米もの田んぼでは人手がかかりすぎる。
もうひとつは、雑草だ。水を張ったままの田んぼには、どうしても水生植物が生える。ヒエやコナギたち。土が露出したところには、たいへんな草が生えてくる。これを除去してからの田植えをしないと、苗たちはみんな草に負けてしまう。
しかし、田植え前にトラクターで耕さないのだから、人力で除去することになる。しかも固くなった土に生えた草だから、これは手強い。チェーンや箒の除草では難しいと思う。この除草に、たいへんな労力がかかるのではないかと思う。
ということで、やってみないとわからない。ともあれ、ことしは冬期湛水はやってみよう。土の硬さによっては、従来の田植え機で可能かもしれない。だめなら、トラクターで代掻きする。草取りは、従来のように、チェーンや箒による人力除草となる。
冬期湛水によって、冬の間、水鳥がやってくる。いろいろな動物や昆虫たちも棲みつく。イトミミズが発生して、土は超えてくるとは思う。それでも十分。ためしてみる価値はあるか。
Copyright © 春野くらし
この記事へのコメントはありません。