日々のエッセイ
6.112016
移住者の歓迎会を自治会が行うというのは、大ニュースなんだ
移住者の歓迎会を自治会が行う。川上地区に移住した、竹のアーティスト鈴木元さんを集落あげてお迎えする。「それって、どこがニュースなんですか」とある人に聞かれたけど、いやあ稀有なことなのだ。
山里では、どんどんと人口が減少。10年で2割も3割も。若い人は5割も6割も。特このまままいけば、集落は消滅する。それはたいへんといって、地元の人に危機意識があるかというと、あんまりない。これまでなんとかやってきたし、先行きながいわけじゃない。子どもたちはまちなかにいって、帰ってこないし。
そりゃあ、移住者がくれば活気づくかもしれないけど、集落の平和と秩序が乱されるのも困る。昨年、紹介させていただいた移住希望者は、家もきまり家主も許可し、家の改装も地元の大工に頼んで……という矢先、地元の自治会が「移住者にきてもらいたくない」と反対決議したのだった。移住をきめていた方もぼくも、がっくり。ああ、これが春野の現状なんだと思った。
あるいは、水源がないところも移住者には来てもらいたくない。集落で一定量の水源しかないので、移住者がきたら自分たちの水がなくなって困る。だからきてほしくないという自治会もある。友人は、そんなこと知らずに新居を建てたものの、水がない。一年間、水のないまま、200リッターのタンクで湧き水を汲みに行っていた。
浜松市が過疎地対策として、ひとり移住したら、10万円を自治会にさしあげる。自由にお使いくださいという制度がある。5人家族が来たら、50万円。自由な使えるお金だ。そのためには事前申請が必要なんだけど、申請した自治会は、41のうちたったつ2つしかなかった。
役所の書類は手間がかかる。自治会長は慣れていない。それが、ひとつのネックかと思い、この4月に自治会総会で、事務手続きは楽舎が全部、無料で代行しますよ。なので、どうぞ申請してくださいね。とアピールした。けど、反響はまったく一つもない。
というほどに、移住受け入れに対しては、ほとんど関心がないのが実情なのだ。総論としては、人が来てくれて活気が出ていいけど、各論として、自分たちの集落には困るということか。まあ、全国の過疎地も似たような状態と思う。
そんななかで、この川上地区は富田自治会長が先頭に立って、移住者の受け入れをしてくれている。空き家を案内し、水源のポンプも補修したり、そうして歓迎会までやってくれる。池谷の定住促進の企画を聞きたいと呼んでもくれた。
ということで、この歓迎会は大きなニュースなのだ。こういう事例があるということを、地元の春野に発信していきたい。全国にも。ということで、マスコミにも取材を依頼した。こうして、すこしずつ成功事例を積み重ねていくことがたいせつと思う。
Copyright © 春野くらし
この記事へのコメントはありません。