日々のエッセイ

山里のお盆

山里に暮らすと、法事に関わるおつきあいが多くなる。なにしろお年寄りが多い。これからもますます増える。

おなじ自治会だと、顔も見たことないのに、お通夜や葬儀に出なくちゃいけなくなる。おなじ組になれば、駐車場やら火葬場やら、坊さんを迎えにいくとか、いろいろな役がある。女性だと料理したり配膳したり。

お盆になれば、迎え盆と送り盆のときに挨拶にいく。それなりの格好に着替えて、「盆供」もつつんで、と。おなじ組ということで、みんなそろって訪問する。20人ちかくにもなる。

新盆の家では、そのために食事や酒の提供をして、接待をして雑談に興じなくちゃいけないことになる。ほんらいは、故人を偲ぶために訪れることが趣旨なのだ ろうが、逆に新盆の家から接待を受けてしまう。親族だけでゆっくりと故人を偲びたい家には、いろいろたいへんかなあとも思う。

送り盆のときは、新盆の家から、それぞれ提灯や花、仏具などをたずさえて、河原まで歩く。自治会のみんなが川の畔などに集まって、合同で供養する。といっても、とくに儀式などはない。祭壇をもうけて、線香をあげて、そして、喪主たちがあいさつ。あとは立ち話の雑談。

こうして、集落のみんなが顔を合わせるというのは、貴重な機会ではある。ただ、みんなが集まるなら、もうすこし荘厳にしめやかに儀式ができたらいいなとは 思う。むかしは、盆の飾りなどを燃やしたり、あるいは精霊流しをしたりして、それなりに風情があったと思う。いまは、河川にむやみに流せない。

そうして、夕方から花火が打ち上げられる。およそ2時間くらい。ランはおびえて縮こまっている。あかりは、大きな音にびっくり。しかし、夜空に浮かぶ火花を見て、おおーと指差していた。送り盆に花火というのも、いいものだ。

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