日々のエッセイ
6.112017
この校舎は築90年 木工作業所に
過疎地ではつぎつぎと廃校になる。学校は集落の「核」みたいなもので、廃校になるというのは、集落の核が消滅することでもある。学校がなければ、子育て世代は住まなくなる。高齢者ばかりとなって、やがて集落は消滅していく。
それでも廃校は活用のしがいがある。公民館、美術館、コンサート会場、寄り合いの場など。こちらで全部やりますと手を上げれば、行政はまかせるよと委託してくれるかもしれない。
けれども、維持費がたいへん。水道光熱費、消化槽の管理費、修繕費がかかる。なにより人件費だ。最終的には、取り壊すときの費用まで考えなくちゃいけない。すると、何千万円みたいなはなしになる。
それで、なにもできないで放置される。やがて、取り壊されていく。なつかしの校舎があちこちで更地になっている。あとは、草が生えるだけ。
この校舎は、築90年。友人の梅林さんが旧天竜市から借りて、そこで木工を営んでいる。地元天龍のヒノキ材で学校で使う机と椅子をつくりつづけている。これまで4万セット以上作って納品した。こういうふうに活用してくれる人がいると、校舎が生きる。しかし、むつかしい。
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