日々のエッセイ
11.12017
稲刈りが完了した
稲刈りが完了した。バインダーという機械で、稲を刈って麻紐で束ねる。人力で稲架掛けをする。日の光と風によて乾燥させていく。
2週間くらいして、稲の含水率が15%くらいになったところで、脱穀する(稲穂からモミを取り出す)。次にモミ摺り(玄米と籾殻を分ける)。あとはその都度、精米する。モミ摺りと精米は、機械を借りることになる。
この田んぼは、およそ3反(3,000平米)。20年の間、休耕田だったところだ。地代は年に1万円。農薬と化学肥料はまったく入れていない。
土と水と日の光だけでコメがとれる。詳しくいうと、種の力。長年の蓄積された土の力。沢からの水が運んできた養分。昨年のアイガモたちの糞と、昨年のワラも入れた。たったそれだけで、ちゃんと収穫できる。
現代の農業は、機械と化学肥料と除草剤の三本柱。機械で田植えする。除草剤をまく。化学肥料をまく。コンバインで稲刈りと乾燥と脱穀を同時に行う。なので、ひとりで可能なのだ。ただし、機械の設備とメンテナンスに費用がかかる。全部揃えれば、一千万円は超える。その他、肥料代も相当なものだ。
いまどき、ぼくたちみたいに、無農薬・無化学肥料でやるという農家は、ほとんどいない。なにしろ人手がかかる。歳をとると体力がもたない。人を雇えば、経費ばかりかかって大赤字だ。
ということで、伝統農業は消えていく。耕作放棄地がひろがる。そこに太陽光パネルなどが置かれる。無機質なピカピカした金属とガラス板の並ぶ農村風景となっていく。
けれども、ぼくたちのようなド素人でも、ちゃんと伝統の米作りができる。その実例を示して、まちなかの人たちも関われる流れを作りたい。なにより安心・安全な食の確保はたいせつ。そして、農業体験による自然との関わり、仲間とのチームプレー、からだを動かすことの智慧と学び。じつに貴重な体験が得られる。その道を開きたい。
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