日々のエッセイ
3.82019
具体的・現実的な段階で、いろいろ障壁がある。
前例のない複雑なことを説明しようとする時、役所とのやりとりには、エネルギーがいる。まず、どの部署に聞いていけばいいのか、わからない。あちこちに電話する。
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今回のインドネシア人によるハラールの食品の加工ついては、明日、集落との契約となった。次の課題は、住まいである。
加工所は山奥のために、 彼らは1時間半もかけて通うことになる。そのため、近くに空き家を探す。先日は春野を案内した。できれば、市営住宅がいい。
ところが、「市営住宅から市営住宅に移る」ことは、市の規定上できない。そこで、世帯分離して市営住宅に移ることは、可能かどうか。そのことを聞いていった(両親は、加工所近くの空き家を紹介してもらう)。
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極端に言うと、こういうところに電話していくことになる。地元の協働センター、区の振興課、推進課、本庁の地域政策課、住宅課。現実的には、指定管理先。そこの管理センター。そして、区域がちがうというと、北部担当の管理センター。
しかも、電話で受けた人が要領を得ないと「担当と変わります」。次の人が現れ、また同じ話をゼロから行い。そしてまた、「お待ちください」。次の人が出てくる。 このようにして、同じ話を繰り返さなくちゃいけない。手間と忍耐とエネルギーのいるありがたい修行の機会となる。
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総論としては、「世帯分離」すれば、市営住宅から市営住宅への移住は問題ない。
次男は4月に結婚するので、世帯分離となる。三男は独身なので、世帯分離したことを、住民票上での移動証明が必要となる。
三男は「独身」だ。しかし、「独身の証明が必要」と言われた。その証明するというのは、簡単ではない。
まず、インドネシアの領事館に問い合わせをする。領事館は本国に問い合わせをして証明してもらう。場合によっては、インドシアに帰国して申請する。その手続きを経た上で、市営住宅に応募できることになる。
この過程を、沖縄にいるインドネシア家族の長男に伝えて、長男から両親と弟たちに伝えて……ということをしていくわけだ。そしてまた、役所とのやりとり。
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このように、過疎化対策といっても、具体的・現実的な段階で、いろいろ障壁がある。それらをクリアーしていかないと、船出しない。ともあれ、乗りかかった船である。
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ちなみに、こんなこともあった。1年前のことだ。ある医療法人が、春野でワイナリーをつくりたいという。すでにぶどう園もつくりはじめた。専業スタッフとして30歳の女性を採択した。移住相談に来た。
住まいは、仕事場の近くに市営住宅が空いている。そこがいい。しかし、市営住宅に住むためには、「前年度の課税証明」が必要という規定がある。ところが彼女は、フランスに暮らしていたために、課税証明が取れない。課税証明がなければ、市営住宅には住めない。そう言われた。
こんな過疎地の山里に、若い女性が仕事を持ってくる。地元のワイナリーを作ろうというのである。しかも、病院を3つも持っている医療法人が雇用している。けれども、「課税証明が取れない」ということで市営住宅に入れない。
すったもんだしたあげく、 結局その女性は山里に来ることなく、甲府にワイン作りの修行に行くことになった。そんな経緯があった。
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