日々のエッセイ

伝統のワザを伝える職人の学校を

宮大工で78歳。このままじゃ、日本の伝統のワザが消えてしまう。おちこぼれてしまう若い人たちをなんとかしたい。自分が培ってきた宮大工の技を伝えたい。カンナをかけるにしても、すうーっと引いて、顔が映るくらいのワザを教えこむ。5年間、教えこめば使いものになる。そこで、廃校やつぶれた木工所を借りて学校を開きたい。──昨日、そんな方からの電話があった。

大工の技を伝える学校をつくりたいと、いろいろな県の役人に問い合わせたところ、静岡県だけが、きちんと書類を送ってきたという。それで、県の西部を中心に、廃校などを見て回り、ここ浜松市の天竜区も歩いてみたという。たまたま泊まった二俣の旅館のおかみに相談したところ、「池谷さんに会ってみるのがいい」と言われたので、電話をしたのだという。

毎年、弟子をとってちゃんと給与も払う。自分で仕事をとってくるという。山里には、あちこち廃校がある。そこでの木工作業には申し分なし。だが、借りるとなるといろいろと行政との手続きがたいへん。保守管理の費用もたいへんなものになる。助成金をひっぱってくるにしても、準備に数年はかかる。手持ち資金は、潤沢にあるとは思えない。なにしろ年齢が年齢だ。

……などと、難題がたくさんある。けれどもその歳にして、その志はすばらしい。なにかお手伝いさせていただければとおもう。けれども、まずはいちどお会いしてから、各論を詰めていかねば。「ぼくはたぶん、期待には添えないし、たいした役には立たないけれども、役に立てる人をさがすことはできるかも」とは答えておいたが。大工のワザ、鍛冶、竹細工、和紙、綿紬など、うしなわれていきそうな伝統のワザを伝える職人学校があっていいように思う。

近ごろ、そのような話がちょいちょいとある。明後日は、行政がまさにつぶして駐車場にしようという文化遺産のような旧家がある。その保存運動をされている方が訪ねて来られる。

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