日々のエッセイ

地域とのつきあいが、やはりいろいろと難しい

「自治会としては、移住者を受け入れません」。二日前、家主に、地元の自治会からそういう連絡がきた。過疎化が著しいこの山里に、移住者がくるのは、活気が出て集落の消滅に歯止めがかかり、とてもいいことだと思う。しかし、「よそ者が来てもらっては困る」という地域もあるのだ。

ひと月ほど前、山里で暮らしたいというHさん(50代の女性)が来訪。いくつか空き家を案内したところ、快適なところがみつかった。ちょっとした料理屋ができそうなほどの雰囲気のいい家で、家賃はなんと三千円。ひろい畑もある。清流も近く。家主は快く貸してくれるという。鍵も渡された。ただ、山里暮らしは、近隣とのつきあいが難しい。そこで、行政と自治会長とHさんとの面談がセットされた。その時は、なにも問題はなかった。これで順調に引っ越しの段取りはすすむ。ピアノを運ぶために、フローリングの補強をしたいので、大工さんを紹介してほしいとか、そういう流れになっていた。

Hさんは、住民票も移すし自治会に加入すると言っていた。けれども、後になって、自治会から家主にお断りの回答があったというのは、移住者を受け入れたくない方がいるわけだ。察するに、地元としてはこれまでの安寧秩序が乱されるのではないか、という心配があったのかもしれない。

「借りたい人がいるのなら、貸したい。そのことで、山里に活気が出るのはすばらしい。でも、地元が受け入れたくないというのなら、仕方がないです」。家主はいかにも残念そうだった。山里の定住促進をすすめるに際して、このように難しい問題がある。空き家はたくさんあっても、貸してくれるところは少ない。地域とのつきあいが、やはりいろいろと難しい。

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