日々のエッセイ

「あたりまえの農業」としての有機農業

地元の春野で開催された有機農業者の集い「ラブファマーズカンファレンス」が無事、終了した。「有機農業」というと、特別なものに感じられるかもしれない。なにか「特別な」哲学、「特別な」ワザ、「特別な」人たち、変わった人たち。なので、すこし壁があるというイメージも。有機農業は、一言でいうと化学肥料をつかわず、堆肥のみで、まったく農薬を使わない農業だ。かつての日本で普通に行われていた農業だ。有機農業を44年間、実践されている霜里農場(埼玉県小川町)の金子美登さんが、「あたりまえの農業」と言っていた。

それは、たいへんに手間のかかること。自家菜園なら可能だが、暮らしていけるか、ナリワイとしていけるかというと、とっても難しい。金子さんが始めたのは23歳のとき。当時は農薬を使わない農家は変わり者扱いされ、一人黙々と有機農業を続けるしかなかった。土作りに3年から5年。ようやく4年目で10軒の消費者との提携ができた。やっと生計が成り立つようになったのは8年目。10年目には30軒となり、やっとラクになった。やがて集落の大半の農家が有機米づくりに転換した。金子さんのもとには、全国に150名もの弟子がいて、43か国から学びに来ている。いまでは、自分の農場の経営というよりも、有機農業による村おこしという流れになっている。

金子さんの語るのは、理屈じゃない、実践したことのみ。みずから実践してきているわけだから、声高に語らなくても、しかと伝わる。迫力がある。語っている時、なによりとても楽しそう、嬉しそう。今回、出会った有機農業の実践者たちは、難しそうな、たいへんそうにやっているという方は少なかった。たのしくなかったら続かない。力が出ない。有機農業には、そういう魅力とチカラがあると思われた。
http://www.nhk.or.jp/professional/2010/0105/

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