日々のエッセイ

山里暮らしの魅力は、人にこそある

「これはおれがつくったものなんだ」といえる作品。フィールド。刻印。実在感。誇り。それが、人としての大きな喜びなんだろうと思う。
芸術家や職人などには、そういう気概がある。「おれの作品だ」と、ここに提示できる。自らがゼロから作り出したもの。ひらめき、工夫、集中、熱意、努力、みんなそこに込められている。まさに個性がかがやく。
いっぽう、サラリーマンとしてのデスクワーク、工場のある部分だけの製造となると、なかなかその喜びがもてない。みんなで作り上げる喜びは、あるといえばある。だが、個性はない。自分でなくちゃできない、というほどでもない。
山里に暮らしていると、「これはおれがつくったものなんだ」というフィールドをもった人とよく出会う。たとえば、ひとりで家を建ててしまう。次々と木工作品を作り上げる。石に絵を描く。紙漉き。鍛冶屋。農業も林業もそうだ。
そういう人たちが身近にいるのが、山里暮らしのおもしろさ。景色がいい、空気がいい、星がきれい、水がおいしい、静か……。そういうところは、はじめは感動する。しかし、すぐにあたりまえになる。大自然はありがたいことだけど、暮らしていると、もはや感動は薄れる。
やはり「人」がおもしろい。出会うたびに、その人達の努力や工夫が垣間見える。こんどこういうことをやるよ。もっとこうしたらどうだろう。なるほど、それもいいねえ。やってみようか。……みたいなやりとりが楽しい。そして、目に見える形で、暮らしのフィールドが変化していっている。そこをまた訪ねると、またたのしいわけだ。
ということで、山里暮らしの魅力は、「人」にこそある。創造的な人に出会うこと。その人と人をつなげていくこと。そこが、ぼくのひとつの役割かなあと思う。
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